中でも、井原医師が重要視するのが、規則正しい睡眠覚醒リズムだ。
「私は、うつ病や双極性障害の基底に睡眠・覚醒リズムの失調があると考えます。気分の甚だしいアップダウンは、不安定な睡眠覚醒リズムがもたらした2次災害にすぎません」
受診する患者には、毎日の起床時間と就寝時間を記録した「睡眠日誌」の記入を求めている。
「私は、就寝と起床のリズムのデータを見れば、その人の精神状態が今後悪化するか否か、大体予想できます。あとは昼間の眠気に注目します。昼下がりに眠くなって、30分ほどの昼寝で回復するなら心配なし。でも、午前中からずっと頭が重いなどの状態はよくない。また、夕食後すぐに眠くなっていったん寝た後、真夜中に目が覚めて3時間くらい起きているとか、睡眠が2分割になっているケースも、睡眠効率としてはよくない。そうならないためには、例えば23時に寝て6時に起きるというように、睡眠のリズムを毎日一定にするように心掛けることです」
休職させない精神科医療