役に立つオモシロ医学論文

高齢者が抗生物質を長期服用すると心臓病リスクが高まる?

高年で2カ月以上服用した場合は…

 平均で7・6年間にわたる追跡調査の結果、高年で抗生物質を2カ月以上使用した人では、同年代で抗生物質を使用していない人と比べ、心臓病のリスクが32%、統計学的にも有意に増加しました。他方で若年、中年では明確なリスク上昇は示されませんでした。また2カ月未満の短期使用についてはいずれの年代でもリスクの増加は示されませんでした。

 抗生物質の使用頻度が多い人は、もともと健康状態が良くない人だった可能性があります。従って抗生物質が心臓病を引き起こすと結論することは難しいですが、その使用を必要最低限にとどめることは心臓病のリスク増加だけでなく、耐性菌の発現を抑止するうえでも有用でしょう。

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青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

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