造血幹細胞の大量培養は白血病治療をどこまで進化させるか

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 造血幹細胞は、ドナーの骨髄に針を刺して注射器で取り出したり、左右の腕を分離装置につないで末梢血を循環させて採取する。しかし、ドナーの白血球の型が患者の白血球の型にマッチしていなければならないうえ、高齢化によってドナーが減少していることもあり、ドナーが登録されている「骨髄バンク」を補完する技術の開発が課題になっていた。

 患者に移植する造血幹細胞(CD34陽性細胞)は、骨髄移植では患者の体重1キロ当たり少なくとも10の6乗個、末梢血幹細胞では10の6乗を2倍した個数が必要だといわれている。しかし、ドナーの体格や状態によっては十分な量に満たないこともありうる。

 現時点ではマウスでの実験段階だが、造血幹細胞を大量に培養できる技術が進んでヒトでの移植にも使えることが確認されれば、採取する幹細胞は少ない量で済み、ドナーの負担が大幅に軽減される。

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