後悔しない認知症

体験した「エピソード記憶」の喪失を食い止める方法はある

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 昔話をしながら、あるいは古いアルバムを一緒に眺めながら、親子のコミュニケーションを深め、親の記憶の想起を促してみるのもいい。失われた記憶のすべてが蘇る可能性はないが、わずかであっても親が忘れていた記憶を想起できれば、親自身の機嫌もよくなるはずだ。

 フランスの文豪プルーストの小説「失われた時を求めて」は、紅茶に浸したマドレーヌの味が主人公の幼児期の記憶を劇的に蘇らせるというストーリーで有名だ。それほど劇的な展開は望めないにしても、コミュニケーションの中で何かがきっかけになれば、親にとっても子どもにとっても有意義な記憶の想起があるかもしれない。

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和田秀樹

和田秀樹

1960年大阪生まれ。精神科医。国際医療福祉大学心理学科教授。医師、評論家としてのテレビ出演、著作も多い。最新刊「先生! 親がボケたみたいなんですけど…… 」(祥伝社)が大きな話題となっている。

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