市販薬との正しい付き合い方

「甘草」取り過ぎ注意 血圧上昇やカリウム低下の副作用も

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「漢方はどうせすぐには効かないし、間違ったものを飲んでも大きな問題はないでしょ?」

 こんなふうに思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなことはありません。漢方といえども、ちゃんと症状に合ったものを用量・用法を守って使用しなくてはなりません。

 漢方は「薬」です。もちろんしっかり効果がありますし、逆に副作用のリスクもあるわけです。ですから、しっかりした情報を基に、症状に合ったものを見極めて使う必要があります。

 効果の面においては、速効性が期待できる漢方もあります。有名なものは「芍薬甘草湯」というシャクヤクとカンゾウという2種類の生薬で構成された漢方で、こむら返り(足のつり)やしゃっくり止めなどにも用いられます。

 足がつるのはそれほど長時間の症状ではありませんから、それくらい速効性が期待できるということです。

 他にも、アレルギー性鼻炎用の「小青竜湯」や、感冒症状(風邪)用の「麻黄附子細辛湯」などは30~60分程度で効果が実感できるといわれています。「漢方はすぐに効かない」と侮ってはいけません。

 効果があるということは、副作用もあるということです。たとえば、甘草という生薬には、偽性アルドステロン症という副作用が知られています。甘草の成分であるグリチルリチンの作用によって体内のコルチゾールが増加し、むくんだり、血圧が高くなったり、血中のカリウムが低下してだるくなったりといった症状が表れる場合があります。

 甘草はいろいろな漢方に含まれていますので、複数種類の漢方を飲む際には、甘草の取り過ぎに要注意です。

 漢方といえど薬です。用法・用量を正しく守って使用してください。

神崎浩孝

神崎浩孝

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

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