当時の抗がん剤治療では、胃がんに対して20~30%の効果を認めたのですが、そこに丸山ワクチンを加えても、さらなる上乗せ効果は見られなかったのです。
その後、日本胃癌学会のガイドラインでは、「非特異的免疫賦活剤と化学療法の併用が胃癌切除後の延命に寄与したという報告があるが、他方では多数の否定的な報告がある。依然、評価は不十分である」と、標準治療として丸山ワクチンの使用を勧めることはありませんでした。
日本医科大皮膚科の丸山千里医師は、全生園でハンセン病患者にはがんが少ないことに気づき、らい菌は結核菌に近いことから、がんの治療に結核菌を用いることを考えました。
そして1944年、結核菌から毒性を除いて丸山ワクチンを完成させたのです。実際にがん患者に対して使用したのは、その少し後からのようですが、副作用はなく、これまでたくさんの患者に使われてきました。
がんと向き合い生きていく