広がる治療の選択肢「潰瘍性大腸炎」で知っておくべきこと

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■いまだに“古い治療”が一般的に行われている

 しかし、専門医以外が治療選択の参考にする治療方針では、いまだに「ステロイドが重要な役割を示す」としている。実際、ステロイドの全身投与はよく効く。アメリカのデータでは、ステロイド全身投与で30日後、8割に効果が出た。

「しかし1年かけてステロイドを減量した結果、半分はやめられませんでした。ステロイドは骨粗しょう症、肥満、血圧上昇、緑内障、ムーンフェースなど副作用が多い。ヨーロッパでは“維持療法のゴールはステロイドフリー寛解(炎症を抑え、潰瘍性大腸炎の症状がない)”としている。一方、日本では『(ステロイドを)一生飲むんですよ』と処方されている患者さんもいる」

 潰瘍性大腸炎の治療には薬の服用のほか、大腸を手術で全摘する方法もある。ただし伊藤医師は、75歳以上は命に関わる危険があること、術後10年経っても年齢によっては便失禁や夜間に便を漏らす率が高くなること、女性不妊のリスクが上昇することなどの理由から、勧めてはいない。

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