人生100年時代を支える注目医療

救急車を呼ぶほどの重症熱中症 病院が行う4つの全身冷却法

ジェルパッド循環冷却法(提供写真)

 冷水浸漬とは、水槽のような専用設備で患者を体ごと冷水に浸す方法。蒸散法は、霧吹きを用いたり、体に濡れたガーゼなどを覆ったりした上で、扇風機などで送風して冷却する。

 ただ、冷水浸漬は高齢者には負担が大きく、若年に比べて死亡率が高いと報告されている。また、輸液の点滴をしながら体を冷やすのだが、冷やしすぎてもいけないので、直腸温、膀胱温、食道温などで深部体温をモニタリングしながら行う。どちらも人手がかかる冷却法だ。

 一方、ジェルパッド循環冷却法は、体幹部と両大腿部に冷水が循環するジェルパッドを貼り付けるだけなので、患者の負担が少なく、安全性が高い。

「サーモガードは、2個のバルーンの付いたカテーテル(細い管)を鎖骨下や内頚、大腿などの太い静脈に挿入します。バルーン内に冷却した生理食塩水を循環させることで、血液自体を冷却する方法です。カテーテルから輸液の注入を同時に行うこともできます」

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