看護師僧侶「死にゆく人の心構えと接し方」

主人は仕事を選び、枯れ木が静かに倒れるように亡くなった

看護師僧侶の玉置妙憂さん(提供写真)

「死ぬとはどういうことなのか」「どのような死に方がベストなのだろうか」――。

 死ぬことは怖い。しかし、死から逃れることはできない。

 長年、外科の看護師を務め、高野山真言宗の僧侶としても活動している玉置妙憂さんは、次のような「死生観」を抱く。

「人間の最期とはどうあるべきなのでしょうか。個人の判断基準を自分が持つ価値観(生き方)に照らし合わせ、迷うことなく明確にしておくことが大事です。ただし、死について考えるときは、肩の力を抜いて、ゆったりと思考することでしょうね」

 多忙な病院勤務のかたわら、8年前に出家したとき、玉置さんは勤務先に退職願を出した。坊主姿での看護師業務は、患者さんたちに違和感を与えると思ったからである。でも、病院は退職を引き留め、在宅ケアを中心にした看護師活動を依頼した。

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玉置妙憂

玉置妙憂

東京都生まれ、53歳。専修大学法学部卒業後、法律事務所に勤務。長男の重い病気が動機になり30歳の時、看護師資格を取得。46歳の時に、がん闘病の主人を自宅でみとった後、高野山真言宗に得度した。臨床宗教師としても講演、執筆活動を行っている。「大慈学苑」主宰。

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