医者も知らない医学の新常識

よく言われる「1日1万歩」の健康法に科学的根拠はあるのか

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 体を毎日動かすことが健康に良く、寝たきり予防にもなるというのは、耳にたこが出来るくらいよく聞く健康法かも知れません。

 運動の習慣のないような人が、まず始めるとすれば歩くことです。それでは、毎日どのくらい歩くことが最も健康的なのでしょうか? 

 これもよく言われるのが、1日1万歩を目標にしましょう、という基準です。しかし、これは実際には万歩計の会社が世間に広めた数字で、それほどしっかりとした科学的根拠のあるものではありません。

 今年の米国医師会の内科専門誌に、ハーバード大学の研究チームによる研究結果が報告されています。高齢の女性を1万6000人以上調査した結果では、1日3000歩も歩かない人と比較して、4000歩以上歩く人は、死亡リスクが低いことが確認されました。この死亡リスクの低下は1日7500歩までは、歩数が多いほど低下も大きくなっていました。日本では群馬県の中之条町での研究結果があり、それによると1日8000歩でそのうち20分くらいは早歩きをすると、最も動脈硬化の病気の予防につながる、というデータが得られています。

 もちろん1日1万歩が目標でも問題はないのですが、健康への良い効果は、1日4000歩くらいでも十分期待は出来るようです。皆さんも無理なく歩く習慣を持つようにして下さい。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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