腰痛を2分で改善させる2つの方法 スポーツドクターが伝授

画像検査で異常がなければ「運動療法」しかない
画像検査で異常がなければ「運動療法」しかない(C)日刊ゲンダイ

 腰痛は、病院に行ってもよくならない――。そう思っている人は多いのではないか。ある意味、それは正解だ。では、どうすればいいのか?

「腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症など、レントゲンやMRIで原因を診断できる腰痛は整形外科で治療できる。しかし、画像検査で異常が見つからない腰痛には運動療法しかありません」

 こう言うのは、五輪のスポーツドクター経験があり、北島康介さんや寺川綾さんなど多くのトップアスリートの健康管理をしてきた早稲田大学スポーツ科学学術院の金岡恒治教授(整形外科医)。金岡教授が勧める2つの方法(具体的には後述)を慢性的な腰痛を抱える40~60代の男女が1日2分、毎日行ったところ、1カ月で痛みが平均5割減少、6カ月後には平均8割減少した。

 画像診断で原因を特定できない腰痛を「非特異的腰痛」という。

「ほとんどの人に見られるのが、股関節が伸びにくくなって体の重心が前に傾き、それを背中の筋肉で支えているのですが、加齢とともに体は前に傾くため背中の筋肉に負担がかかり、腰痛が悪化する――というもの。四足歩行だった動物が二足歩行になった結果、腰痛は避けられないことでもあります」

 非特異的腰痛では、「とりあえず薬(鎮痛剤)」「神経ブロック注射しますか?」となりがち。痛みは一時的に取れるかもしれないが、大本の原因が解決できていないので、腰痛は治らない。

 そこで腰痛と縁を切るために、今日から行うべきなのが次の方法だ。

■まずは股関節のストレッチで準備

 足を前後に大きく開き、前の膝を曲げ(膝が足のつま先より前に出ない)、股関節を伸ばす。足を入れ替え左右どちらの股関節も伸ばす。

 さらに、体幹を鍛える2つの方法も行う。これは腰に負担をかけにくい姿勢を維持するのに有効で、先に紹介した「1カ月で腰痛5割減少、6カ月で8割減少」の結果をもたらした方法だ。

「骨盤の位置が前に傾いても後ろに傾いても腰に負担がかかります。適切な位置を維持するには、体の重心を前に傾け過ぎないようにする腹横筋と、背中の筋肉である多裂筋の2つをうまく使わなければなりません」

【1 ドローイン】
 あおむけに寝て膝を立て、背中(特に腰の部分)を床に押し付けるようにする。息を吐きながら行うとよりいい。

【2 ハンドニー】
 四つん這いになり、右手と左足を上げ、体と水平になるように伸ばす。反対側もする。

 やってみると分かるが、ドローインはどうしても腰の部分が浮きがち。床にくっつくのが理想的であるものの、できる範囲でいい。ハンドニーは手と足を同時に上げられない場合、まずは手だけで。できるようになったら足も上げる。

 2つを同時にやる方法もある。タオルを両手に持ち、両手を上に。この時、両腕は耳の後ろになるようにする。息を吐きながらお腹をへこませ、両肘を曲げて、両手を背中側に下げる。

 腰痛に加えて肩凝りもひどい人は、肩甲骨にある菱形筋を動かす方法も取り入れるといい。手のひらを内側にして両手を上げ、肩甲骨が寄っているのを意識しながら両手を肩の位置まで下ろす。両手を下ろす時、手のひらをゆっくり外側に向けていく。スマホを日常的にいじっていると背中が丸まりがちなので、その改善にも役立つ。

 いずれもできれば毎日行う。自転車の練習と同じで、続ければ筋肉の動かし方が自然と身につく。3カ月、半年と続ければ、日常生活でも無意識に筋肉を動かせるようになる。つまり、腰痛になりにくい体の使い方をできるようになるのだ。

関連記事