65歳以上のアメリカ人の医療大麻使用が大幅に増加していることが、米政府による年次調査で分かりました。
アメリカで最初に医療大麻が合法化されたのはカリフォルニア州で1996年のこと。2019年6月現在、医療大麻は50州中33州とワシントンDCで合法化され、ほかの処方薬と同じように医師の処方によって購入することができます。
医療大麻を使用する人は急速に増えていますが、最も増加率が高い世代が65歳以上で、実に3・4%が昨年1年間に医療大麻を使用したと答えています。これは10年前の10倍。また、60~64歳では9・4%で、10年前の1・9%に比べ5倍と高い伸びです。
医療大麻の使用目的は、関節炎や慢性の痛みの緩和から、うつ病、不安神経症などの症状の軽減まで多岐にわたっていますが、気になるのはコロラド大学が行った調査結果です。
コロラド州は医療大麻のみならず、嗜好(しこう)品としての大麻も合法化されています。ところが調査に参加した60歳以上約140人の多くは医療大麻を使用したいのに、医師からの処方を受けることが難しいと感じていると答えているのです。
ある人は主治医に医療大麻について聞いたところ、強い拒否反応を示され話も聞いてもらえなかったり、処方を拒絶される体験をしたといいます。そのため、わざわざ闇取引の商品を買ったり、嗜好品の大麻で代用していると話す人も。
合法化されたとはいえ、まだまだ大麻に対して懐疑的な医師も多く、それが勉強不足につながり悪循環を招いていると、調査結果は分析しています。
一度に多くの薬を飲まなければならない高齢者には、医療大麻使用で不必要な副作用を減らしたいという願いもあります。もっと多くの医師が医療大麻のメリットとデメリットから適切な投薬量などを理解し、患者を指導してほしい。そんな希望はこれからますます高まりそうです。
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