独白 愉快な“病人”たち

食べて吐いての繰り返し…秋本啓之さん語る過食嘔吐との闘い

秋本啓之さん(C)日刊ゲンダイ

 ちょうどその頃から柔道もポイント制が導入され、コンスタントに試合に出ないとシード権が得られないようになりました。つまり、連戦ができないと勝ち上がれない。このままの階級では続けられないと悟ったのです。

 柔道で1つ階級を上げるということは、とても勇気がいることです。相手の体の大きさや手足の長さはものすごく試合に影響しますからね。でも、フタを開けてみたらとんだ取り越し苦労で……。階級を1つ上げた初の大会だった2009年の講道館杯で優勝したんです。こんなことなら、もっと早く階級を上げればよかったと思いました(笑い)。

 しかも、減量から解放されたら逆に食に対する欲求が減って自然に体重が落ちました。のびのび柔道ができるようになり、子供の頃のように柔道を楽しめるようになったんです。それまでは減量のために柔道をしているようで苦しくて、ケガも多かった。何よりつらかったのは過食嘔吐をやめたいと思っているのにやめられなかったことです。

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