気鋭の医師 注目の医療

がんゲノム医療 保険適用された遺伝子パネル検査が本格始動

遺伝子異常を一気に調べる「次世代シークエンサー」(左は加藤俊介教授)/(提供写真)

 パネル検査が受けられる医療機関は、がんゲノム医療中核拠点病院と、その連携病院に限られる。では、実際の臨床では2つのパネル検査は、どのように使い分けられるのか。連携病院に指定されている順天堂大学医学部付属順天堂医院・腫瘍内科の加藤俊介教授が言う。

「保険診療でパネル検査を行う場合、どちらを使うかは基本的には主治医の判断です。違いをいえば、NCCオンコパネルは正常細胞とがん細胞の両方を比較して厳密にがんによる遺伝子変異を調べます。一方、ファウンデーションワンはがん細胞の遺伝子変異しか調べませんが調べる遺伝子数が多く、グローバルスタンダードの検査法です。ただ、国内で使える薬(承認薬)の数からいえば、保険診療なら114種類の遺伝子を調べるだけで十分とされています」

 確かに「次世代シーケンサー」という一度に多くの遺伝子異常を調べられる解析装置が開発されたことで、パネル検査の実施が可能になった。しかし、この検査技術の進歩に治療薬の開発が追いついていないのが現状だ。パネル検査で遺伝子異常が見つかっても、最終的に治療薬にたどりつくのはごく一部の患者とされている。

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