上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

朝食を取らない人は心臓を守る手段をひとつ放棄している

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

 朝食には「血糖値の急上昇を防ぐ」働きもあります。朝食を抜くと昼食後の血糖値が上がりやすいという報告もあるように、糖尿病の予防では「まとめてドカ食いは避けて1日3食に分けて食べる」ことが基本です。糖尿病はもちろん、血糖値の急上昇は血管に大きな負担をかけるので動脈硬化を招きやすくなり、心臓疾患の大きなリスクになります。

 さらに、朝食は1日の早い時間から胃腸を活発化するため、「快便」にもつながります。便秘になってどうにか排便しようとトイレでいきむと、心臓には想像以上に大きな負担がかかりますから、この点でも朝食は心臓を守るのです。

 食生活による健康管理を考えた場合、自分が主体となって生活習慣病の改善に“攻めの姿勢”で臨めるのは、朝食だけといってもいいでしょう。

 現代の社会生活では、夕食は仕事や対人関係のためのお付き合いに使われるケースも少なくないので、自分できちんとコントロールするのは難しいといえます。昼食は職場の近所で済ませたり、時間の制約に縛られる場合がほとんどで、やはり主体的に管理するのはハードルが高くなります。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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