Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

“的中率”は90%超 がん血液検査の読み方と過剰診断リスク

命に影響を及ばさないがんも掘り起こす(C)PIXTA

 では、どう読むか。まず甲状腺と前立腺は、血液検査を受けない方がいい。過剰診療の可能性が捨てきれません。

 そのほかでいうと、膵臓がんと胆道がんは発見しにくい上、有効な検診法が定まっていないので、血液検査が有望でしょう。高リスク判定なら、超音波検査などの精密検査を受けるといい。肺で高リスクならCT、食道なら内視鏡といった具合です。

 血液検査の結果で、すぐに治療ということではなく、精密検査を受ける前の前段階という位置づけでいいでしょう。1回の血液検査がセーフだから、その後はノーチェックというのも考えもの。血液検査がどんなに効果的であっても、定期的ながん検診を受けることが重要なのは、今後も変わりません。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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