病み患いのモトを断つ

身だしなみ調査で1位 気になる鼻毛処理は入口から1cm以内

レーザー脱毛は半永久的効果も
レーザー脱毛は半永久的効果も

「言わない方がいいこともある。例えば、『鼻毛、出てますよ』みたいな……」

 映画「モーリス」の吹き替え版完成披露イベントで16日、吹き替えを担当した声優が登場すると、鼻毛トークで盛り上がったという。パナソニックが昨年7月に実施した「ビジネスシーンでの身だしなみに関する意識・実態調査」でも、他人の気になる身だしなみは、鼻毛が1位。鼻毛処理はどうするか――。すみれ皮膚科クリニック院長の藤田伸弘氏に聞いた。

 冒頭の調査では、鼻からちょろっとはみ出た鼻毛を指摘できるのは、後輩で30%、上司に至っては6%にとどまる。

 ほとんどの人が声優のように見て見ぬふりをしていることになる。

 そりゃ、そうだろう。いつも威張り散らしている上司の鼻毛が「こんにちは」していたら、怒鳴り声をサラッとかわして、心の中で「ダサッ」とあざ笑うはず。しっかりケアしていなければ、自分がそうなることは十分ある。2位の「髪の乱れ」や3位の「服装の汚れ」を差し置いて、鼻毛を気にする人が多いのは、そのためだろう。

 そんな身だしなみ意識を反映してか、ニトリは今年4月、単4乾電池1つで使える鼻毛カッター「ノーズケア」(税込み498円)を発売。長さ11センチ、太さ1・4センチと細いマニキュアくらいのサイズで持ち運びに便利とあって人気だ。米ポケットナイフブランド「カーショー」(4000円ほど)の回転式鼻毛カッターもネットショップなどで売れていて、グッズの種類も幅広い。

 ぷちっと抜くか、オシャレに切るか。パナソニックの調査では「切る」が72%だが……。

「昭和の中高年は、電車のホームなどで抜いていることがありましたが、抜くのは論外。指でつまんで何本かまとめて抜いたりすると、出血しますから。そうすると、細菌などに感染します。それで、化膿して来られる患者さんがいるんです」

 街なかの鼻毛脱毛店では、脱毛ワックスを使うケースもあるようだが、それも抜くのと同じ理由であまりよくないという。調査結果が示すように、道具を使って鼻毛を切るのが正解だ。

「自分でやるときは、鼻毛切り用のハサミより、カッターの方が無難です。鼻毛切り用は先端がとがっていなくて、丸くなっていますが、それでも見えないので、粘膜を傷つけるリスクが高い。その点を考えると、カッターです」

 なるほど、カッターなら、鼻毛用の“ひげ剃り感覚”で使いやすい。

「注意したいのは、剃り過ぎです。鼻毛は、細菌やウイルス、花粉など、異物の侵入を防ぐほか、鼻の内部の湿度を保つ働きもある。気持ちいいからといって、奥までごっそりと剃ってしまうのはよくありません。カットするのは、鼻の入り口から1センチで十分です」

 鼻毛処理は大した手間ではないが、忘れがち。トイレなどのふとしたときに、ちょろっと見えたりして、カッターもなくて慌てて抜いた。そんな経験はあるはず。ドジを防ぐ“奥の手”もあるそうだ。

「レーザー脱毛です。これも鼻の入り口の周りのみにレーザーを照射。何回か施術すると、反応のいい人だと、半永久的に脱毛できます」

 料金はクリニックによって異なり、複数回で合計数万円は覚悟したい。たかが鼻毛、されど鼻毛だ。どのアイテムや施術を望むかは人それぞれでも、少なくとも抜くのはやめにしよう。

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