がんと向き合い生きていく

難治性の造血器腫瘍を克服した患者さんが訪ねてきてくれた

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 先日、「造血器腫瘍」(白血病や悪性リンパ腫など)の中でも最も難治と考えられるタイプのがんと闘い、悩み、苦しみ、大変な苦労を重ね、骨髄移植を受けた後にようやく蘇って元気になったAさん(40歳・主婦)が外来に来られました。私は今は移植チームから離れているので、ずっと外から応援していました。

 骨髄移植では「前処置」というものを行います。体の中のがん細胞を減らし、新たに入ってくるドナーの骨髄細胞が生着しやすいように自身の免疫細胞を抑制することが目的です。そのために大量の抗がん剤と全身の放射線治療が行われますが強い副作用があります。

 自身の骨髄は空になって血を造れなくなるので、一時的に白血球数がゼロになり、感染(敗血症)が起こりやすい状態になります。また、強度の貧血や血小板の減少が進むため、適宜、赤血球と血小板輸血が行われます。口内炎、脱毛、食思不振、嘔気・嘔吐、下痢などが高頻度に表れ、肝臓、腎臓、肺、心臓といった重要な臓器に合併症が起こると、命に関わることもあります。

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佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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