医者も知らない医学の新常識

米専門誌で報告「電気やTVを消さずに寝ると太る」は本当か

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 皆さんは寝る時に部屋の電気を消していますか? 「真っ暗でないと眠れない」という人がいる一方で、「明るくないと眠れない」という人もいます。なかには「テレビをつけっぱなしにして音も流れていないと、眠りに入れない」という人もいるようです。

 それでは、寝ている時の環境と、健康との間には何か関係があるのでしょうか? 「睡眠時間が短いと太りやすく、肥満に伴う病気も増える」というのは、これまでに多くの報告があります。夜は食欲が抑えられるのが正常なのですが、睡眠時間が短いとそうした仕組みが働かず、夜の過食につながりやすいようです。

 人間は昼間に十分光を浴び、夜は暗い中で眠ることで、日内変動といわれるリズムをつくっていると考えられています。もしそうであるとすると、寝ている時の周囲の明るさにより、正常なリズムが乱れる可能性があるのではないでしょうか? 

 今年の米国医師会の内科の専門誌に、それについての興味深い研究が発表されています。アメリカとプエルトリコで4万3000人を5年以上調査した結果として、照明をつけたままやテレビをつけたままで睡眠をとると、暗い部屋で寝た場合と比較して、肥満になるリスクが19%増加していたのです。この違いは睡眠時間の差ではありませんでした。どうやら肥満にならないためには、テレビと部屋の電気を消して寝た方がよさそうです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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