独白 愉快な“病人”たち

点滴が生ビールに見えて…宮路オサムさん闘病生活を振り返る

宮路オサムさん(C)日刊ゲンダイ

 そこに至るまでの経緯を語るには、46年前に「なみだの操」がヒットした頃に遡ります。歌が売れたのはよかったのですが、同時に過密なスケジュールと期待される重圧にさいなまれていました。ある日、バケツ一杯の吐血をしてしまって病院に運ばれたんです。ストレスによる胃潰瘍でした。でも、手術はせずに通院しながらスケジュールをこなす日々……。体調の悪さを悟られまいと必死に歌っていました。それが「熱唱」と評されて、ますますみなさんに喜んでいただくことになったわけです(笑い)。

■病気になったことで歌のすごさを再認識

 それ以来、胃には十分注意していたのですが、30年前、殿さまキングス解散の危機に再び大きなストレスがかかり、「急性神経性胃潰瘍穿孔腹膜炎」になりました。胃に穴が開き、腹膜内に胃の内容物が漏れ出すという緊急事態です。大急ぎでお腹の中を大掃除する手術が行われ、胃の3分の1を切除しました。倒れたのはちょうど、女房の父親のお墓参りの最中でした。

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