性感染症最前線

エイズ<4>発症を95%以上抑制 HIV検査“陽性”の場合の治療法

早期に治療を開始すれば薬で管理できる(C)日刊ゲンダイ

 抗HIV薬には、「核酸系逆転写酵素阻害薬(NRTI)」「非核酸系逆転写酵素阻害薬(NNRTI)」「プロテアーゼ阻害薬(PI)」「インテグラーゼ阻害薬(INSTI)」「CCR5阻害薬」の5種類がある。前の4つは、HIV特有の酵素の働きを阻害する薬で、CCR5阻害薬はHIVがCD4陽性リンパ球細胞に侵入するのをブロックする薬だ。

 国内で使用可能な抗HIV薬は24種類あり、さらに複数の薬を配合した合剤も数多い。抗HIV薬の中で、HIV抑制効果がより強力な薬剤を「キードラッグ」、それを補足してウイルス抑制効果を高める役割をもつ薬剤を「バックボーン」と呼ぶ。現在は、バックボーンとしてNRTI2剤に、キードラッグ1剤を組み合わせるのが一般的だ。

「ARTの効果は100%近いですが、治療効果が不十分な場合の原因のほとんどは患者さんの内服率の低下です。それに飲み忘れがあると耐性ウイルスができてしまいます。ART確立当初は飲む錠剤が多かったり、副作用が高頻度で出ていました。しかし、近年は副作用の発現が大きく改善され、1日1回1錠の服薬で済む配合剤も登場し、治療の煩雑さはなくなってきています」

 薬を飲み続けていればHIV感染していない人と変わらない寿命が期待できる。ただし、年を重ねて生活習慣病などを発症すると持病薬との飲み合わせ(相互作用)が問題となり、抗HIV薬の種類を変更しなくてはいけない場合があるという。

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