Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

高校生が「哲学外来」主催報道 がんのつらさは話して楽に

抱え込まずほかの人に話せば心が軽くなる(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ

 全くその通りだと思います。

 がんになると、それに伴う症状のほか、精神的な苦痛も見逃せません。

 がんは早期なら治る病気ですが、今なお「がん=不治の病」というイメージは根強く、精神的なストレスをずしりと背負い込む人は珍しくありません。

 がんでない人と比べると、うつ病の発症率は2倍以上と報告されています。研究によってバラつきがあり、20~40%はうつ病を合併するといわれるのです。

 がん患者のうち、3割は64歳以下の現役世代。学校生活や仕事との両立が大切でしょう。そういう方々がうつ病で塞ぎ込んでしまうと、せっかくの治療のチャンスをふいにしてしまう恐れもあるでしょう。

 同じ境遇の人たちが集まって、そういうつらい気持ちを一人一人、口から吐き出すことで、心を軽くしようとするのが、がん哲学外来です。一見すると、難しそうな名称ですが、あくまでも気持ちを軽くするための話し合い。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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