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冷房以外に原因が 喉のイガイガは薬でダメなら胃カメラを

一日中エアコンをつけっ放しに…
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 ジメジメと暑くなり、クーラーが活躍する季節です。寝ているときも使うようになると、喉がイガイガして、つらそうにして来られる方が増えます。医学的には咽喉頭異常感症といって、さまざまな病気を網羅する総称です。

 これから多発するクーラーによるイガイガは急性の咽頭炎やへんとう炎で、細菌やウイルス、化学物質などによる感染が原因です。喉の粘膜に炎症ができて、イガイガ感や咳、発熱などでぐったりするでしょう。

 薬を飲むと良くなりますが、慢性化するケースが少なくありません。そうすると、自覚症状は喉のイガイガ程度に。熱がなければ、生活にはそれほど支障がなく、放置されやすい。それで、しばらくたってから「喉のイガイガがなかなか治らなくて」と来られるのです。

 私はまず薬を処方して様子を見ます。それで良くならなければ、ほかの病気を疑います。その典型が、胃食道逆流症(逆流性食道炎)です。

 食べ過ぎや肥満、加齢による胃の逆流防止の機能低下などにより、胃酸や胃の内容物が逆流し、喉のつかえや胸やけ、ゲップなどが生じます。それが続くと、食道の粘膜がただれるため、喉のイガイガ感を生じるのです。これを調べるには、胃カメラが鉄則、食道と胃の境をよく観察すると分かります。

 薬で胃酸の分泌を抑えると改善しますが、食べ過ぎ、特に食べてすぐ寝るような生活習慣の改善が欠かせません。

 もうひとつは、アレルギーです。例えば、ハウスダストやダニ、花粉などのアレルギーで喉がイガイガすることがあり、食物アレルギーのケースもあります。卵や牛乳のほか、パイナップルやキウイなどでイガイガしたことがある人は、アレルギーかもしれません。

 アレルギーによるイガイガが疑われるときは、血液検査や皮膚検査を。それでアレルギーのもとであるアレルゲンを探ります。

 最後は、ストレスや神経性の可能性です。暑さや睡眠不足、仕事の疲れなどでストレスをためると、自律神経が少しずつ乱れてきます。それで、消化器系の動きが悪くなると、胃もたれや膨満感などとともに喉のつかえが生じ、ひいてはイガイガ感に。神経性胃炎によるイガイガ感も同様の理由です。

 ありふれた症状でも、胃食道逆流症を放置すると、最悪の場合、食道に穴が開くことがあり、アレルギー発作は命を左右します。放置してはいけません。

(梅田悦生・赤坂山王クリニック院長)

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