正社員で働く発達障害の人々

子供のころから「普通の人との違い」を感じていた

一色宏治さん(提供写真)

「もっとも、勉強だけはできたので、小学校に入ってもなんとか授業にはついていけました。ただ人の顔と名前は一致しないまま。小学校低学年のとき、クラス名簿を出席番号順に丸暗記してなんとか乗り切りましたが、相変わらず顔とは一致しない。それを、ごまかしていましたね」と話す。

 中学に入ると、夜中に勉強しながら深夜ラジオを聞くようになり、授業中はよく眠っていた。理系科目ができたので、旧帝大の理系学部に進学する。大学が家から遠かったので一人暮らしを始めると、生活は壊滅的になった。

「朝起きられないし、時間管理ができないので、授業に出ても遅刻する。夜中に大音量でラジカセをかけて、部屋の前に苦情の張り紙があって、初めて迷惑をかけていたことに気付く。勉強は遅れがちで1年留年しました」

 時は就職氷河期。目先の就職活動を敬遠して、大学院に進学する。

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