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米国人が牛肉消費は減らせても…ベーコンが減らせない理由

朝食の定番ベーコンエッグ
朝食の定番ベーコンエッグ

 ハムやソーセージ、ベーコンなどの加工肉の消費量が、アメリカでは18年間変わっていないという調査結果が発表され、波紋を広げています。

 調査は、米国全国健康栄養調査(National Health and Nutrition Examination Survey)が、1999年から2016年の間に4万人以上の成人を対象に行ったもの。

 それによれば、18年間にレッドミート(赤身肉)と呼ばれる牛肉の消費が減少、逆に鶏肉の消費が増加し、消費量が逆転しました。その理由として、赤身肉の食べ過ぎが心臓疾患や糖尿病、がんなどの病気のリスクを高めるという知識が行き渡ったからではないかと考えられています。

 ところが問題は、消費量が横ばいの加工肉の方。実は加工肉もレッドミートと同様に健康リスクが高いことがわかってきているからです。

 WHO(世界保健機関)の2015年の発表では、加工肉には発がん物質が含まれるという十分な証拠があり、結腸直腸がんの原因となる。毎日50グラムの加工肉を食べ続けると、結腸直腸がんのリスクが18%増大するとしています。

 さらに2010年のハーバード大学の調べでは、加工肉と心臓疾患、糖尿病のリスクとの関連も指摘されています。

 この調査でもう一つ分かったのは、もともとあまり魚を食べないアメリカ人の魚の消費がまったく増えていないこと。関係者は今回の調査結果の発表で、「加工肉の健康リスクにもっと関心を持つだけでなく、体に良いオメガ3脂肪酸などを含む魚ももっと食べるようになってほしい」とコメントしています。

 しかし、アメリカでは新鮮な魚は値段が高く、手に入る場所も限られています。一方で、アメリカ人にとって朝食のベーコン&エッグ、ランチの定番ハムサンドイッチや、夏のバーベキューの人気アイテムであるホットドッグは、どこでも買えて手軽に食べられ値段も安い。毎日の食生活に欠かせない存在になっているため、減らすのはなかなか難しいという現実もあります。

シェリー めぐみ

シェリー めぐみ

NYハーレムから、激動のアメリカをレポートするジャーナリスト。 ダイバーシティと人種問題、次世代を切りひらくZ世代、変貌するアメリカ政治が得意分野。 早稲稲田大学政経学部卒業後1991年NYに移住、FMラジオディレクターとしてニュース/エンタメ番組を手がけるかたわら、ロッキンオンなどの音楽誌に寄稿。メアリー・J・ブライジ、マライア・キャリー、ハービー・ハンコックなど大物ミュージシャンをはじめ、インタビューした相手は2000人を超える。現在フリージャーナリストとして、ラジオ、新聞、ウェブ媒体にて、政治、社会、エンタメなどジャンルを自由自在に横断し、一歩踏みこんだ情報を届けている。 2019年、ミレニアルとZ世代が本音で未来を語る座談会プロジェクト「NYフューチャーラボ」を立ち上げ、最先端を走り続けている。 ホームページURL: https://megumedia.com

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