歯の疑問 ずばり解決!

「麻酔」のテクニックは施術者によって大きく差が出る

ガマンせずに「麻酔が怖い」と率直に伝える
ガマンせずに「麻酔が怖い」と率直に伝える(C)日刊ゲンダイ

【Q】麻酔が怖くて仕方がありません。痛くない麻酔ってありますか?

【A】あります。といっても、痛くない麻酔とは「技術」です。針を刺し入れる位置、刺し入れる角度、針の太さ、薬液の温度、薬液を入れるスピードをいかに見極めて実践するか。それが、その技術です。針を刺す箇所の表面にあらかじめ麻酔液を塗るのも有効です。さらにいうと、患者さんが緊張しない雰囲気づくりや、くちびるなど他の部位を触ることによって痛みを散らしたり……と、麻酔のテクニックは施術者によって大きく差が出る部分でもあります。

 注射器が怖いとか、痛いのが苦手なのは決して恥ずかしいことではありません。ガマンせず、歯科医師に「麻酔を打たれるのが怖い」と率直に伝えるべきです。そのように訴えても痛い麻酔しかしない(できない)歯科医師は、親身になって考えてくれない人か、そもそも技術がないと判断して、医院を変えることをオススメします。歯科医院を選ぶうえで重要なのは、技術はもちろんのこと「親身になってくれる人柄なのか」です。

 以前、麻酔が苦手な38歳の男性患者さんがいらっしゃいました。通院し始めてすぐの頃は、「麻酔をします」と伝えると、アッという間に顔から血の気が引き、冷や汗をかいていました。子供の頃からとがったものが苦手だということに加え、小学4年生のときに歯科医院で皆から寄ってたかって押さえつけられて麻酔を打たれたことによる恐怖心がずっと拭えずにいたそうです。そこで、治療をする前に歯と顎の模型を使い、どの辺りにどのように麻酔を打っていくのかを説明し、痛くない注射ができることをお伝えしました。最初は半信半疑だった患者さんは、説明を聞いているうちに平静さを取り戻し、納得して麻酔を打たせてくれて、その日を境に苦手だった麻酔を克服することができたと言ってくださいました。

 自分にとってストレスのない治療をしてくれる医院を探すことは、人生や生活の質を上げるための重要なポイントになる。僕はそう考えています。

(構成=小澤美佳)

北沢伊

北沢伊

1977年7月8日、長野県生まれ。斉藤歯科医院院長。2003年に日本大学松戸歯学部を卒業。同年から同院に勤務し、13年から院長に就任した。若手歯科医師に向けたセミナーの講師を務め後進の育成にも取り組んでいる。日本口腔インプラント学会専門医。千葉県歯科医師会所属。

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