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頭痛の原因が頭でなければ…目、耳、鼻、歯にアリ

頭痛は放置しない
頭痛は放置しない

 頭痛に困った経験は少なからずあるでしょう。軽い痛みでも、仕事や生活に支障があって、目の前のことに集中できません。ひどい頭痛ならなおさらで、厄介です。今週芸能界を騒然とさせたジャニー喜多川さんも、おそらく病院に搬送される前に激しい頭痛があったと思います。

 報道によると、ジャニーさんの病名は、解離性脳動脈瘤が破裂したことによる、くも膜下出血とのこと。動脈はバームクーヘンのような3層構造で、穴の部分が血液の通り道。そこを取り囲む部分が3層で、内側の膜が破れて中膜との間に侵入した血液による瘤が解離性動脈瘤。それが脳の血管に生じて破裂したのがジャニーさんのケースです。

 一般に破裂前に頭痛があることが多く、その時点で受診すると、頭部のCTやMRIで血管の異常をキャッチできます。破裂すると、命を落とすことはまれでなく、一命を取り留めても介護や寝たきり状態になりやすいので、頭痛は放置しないことが大切でしょう。

 ジャニーさんのように原因がハッキリしていて治療方針が明確なタイプは、「症候性頭痛」といいます。脳卒中のほか、頭部外傷や脳腫瘍、感染症など。脳腫瘍は、腫瘍がある部分によって、その部分がつかさどる身体的機能も障害されるので、CTやMRIが重要です。

 要注意の感染症である髄膜炎を生じると、経験したことのないような頭痛とともに、首の後ろが硬くなって、下を向きにくくなることも。処置が遅れると、命の危険があり、早期の髄液検査が欠かせません。

 日常の診察で見逃せないのは、耳鼻科や歯科、眼科の病気との関係。耳鼻科での典型は、副鼻腔炎です。

 副鼻腔は、頬から眉間の辺りにかけて左右に4対あって、そのどこかが感染して炎症を起こした状態です。それで、鼻水や鼻づまりのほか炎症の場所から頭痛を起こしやすいのです。顔の痛みや目の奥の痛みとして感じる方もいます。

 風邪をこじらせて急性副鼻腔炎に。それが慢性化すると、鼻炎症状は続きますが、頭痛は比較的軽くなる傾向です。

 虫歯や顎関節症など歯科領域の疾患も、頭痛との関連では侮れません。眼科では、眼精疲労で頭痛を生じるほか、要注意は眼圧急上昇による緑内障発作です。視力の低下や吐き気とともに前頭部の痛みを生じます。

 片頭痛や緊張型頭痛、群発頭痛は一般的な検査では、なかなか異常を認めにくく、原因が分かりにくい。これらは「機能性頭痛」にくくられますが、片頭痛は血液検査でセロトニンを調べると、0・04~0・35μg/ミリリットルの基準値を超えることが診断の手掛かりになります。

(梅田悦生・赤坂山王クリニック院長)

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