後悔しない認知症

症状を遅らせるにはスキンシップも極めて大事になる

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 このコラムでは、認知症の進行を遅らせるためにコミュニケーションの機会を増やし、それをきっかけにして新しい情報を入力したり、発語やメモなどによって出力することが大切であることをたびたび述べてきた。

 できるだけ脳を停滞させない、使い続けることが症状の進行を抑えることになるからだが、認知症を発症した高齢者が自発的にコミュニケーションの機会を増やすことは難しい。高齢な親にしてみれば、さまざまな自分の老化現象に気づいているわけで、「話がかみ合わない」「面倒くさい」「相手に悪い」といった理由で会話の口火を切ることがおっくうになりがちだ。

 特に、耳の聞こえが悪くなっている高齢者は、聞き返すことに強い抵抗感を覚える。子どもも、何度も聞き返されるうちに、次第に声が大きくなり、話し方に怒りの色を帯びてしまう。さらに、親は会話における理解力や表現力も衰えてしまっているから、コミュニケーションへの自信や意欲も失われがちだ。やがて「まあ、しょうがない」となってしまう。情報の入力、出力の機会が減少すれば、当然、脳の機能は低下していくことになる。

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和田秀樹

1960年大阪生まれ。精神科医。国際医療福祉大学心理学科教授。医師、評論家としてのテレビ出演、著作も多い。最新刊「先生! 親がボケたみたいなんですけど…… 」(祥伝社)が大きな話題となっている。

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