そして、このことを45歳になる娘に話したところ、「平均余命というのがあって、ネットで調べたらお父さんが80歳とすると、あと8年くらいみたいよ」と言われ、「そうか、でも8年もあるのか……。それなら、佐々木先生に聞いてみようと思った」とのことでした。
■患者の身体や精神の状態、がんのタイプによって変わってくる
Sさんのお話を聞いて私はこう答えました。
「もし生検の結果ががんだとして、がんの治療をするかしないかは、暦の年齢で決めるものではないのです。高齢になってくると、身体能力、精神的な状況は一人一人、大きく違っています。患者さんの体の状況や精神の状況、それぞれ個々の状態によって決めます。これが高齢者に対する治療の特徴で、実年齢で治療方針が変わるわけではないのです。80歳でも毎朝2万歩も散歩される方もおられるし、階段を上れない方もいらっしゃいます。ですから、手術にしても、その後の経過にしても、個人個人によってリスクは大きく違ってきます」
がんと向き合い生きていく