がんと向き合い生きていく

がん治療をするか否かは「暦の年齢」で決めるものではない

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 その後、三浦雄一郎さんの話題になりました。80歳でエベレスト登頂に成功し、86歳での登山では途中で引き返しましたが、鍛え直して90歳の時にまた挑戦するといいます。

 80歳からの平均余命が8年といっても、寿命が尽きるのに8年ということかもしれませんが、その人に当てはまるかどうかは分かりません。100歳まで、つまりあと20年、生きる方もいらっしゃるのです。

 検査から10日後のSさんの病理の結果は、一部に低分化腺がんが見られたため、担当医から「手術を急いだほうがいい」と説明されました。

 Sさんは同意して翌月には手術が行われ、腹膜播種もなく今は元気でおられます。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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