独白 愉快な“病人”たち

手術で死にかけて…仁支川峰子さん甲状腺がん闘病を語る

仁支川峰子さん(C)日刊ゲンダイ

 舞台を終えた2月、食事会で偶然お目にかかったお医者さんに「これ、なんだと思います?」と喉を見せました。そこから紹介に次ぐ紹介で、甲状腺がんの手術で有名だという大学病院にたどり着き、正式に「甲状腺がん」と診断されました。

 進行も遅く、悪性度は低いとのことだったので、4月の舞台が終わるのを待って入院。手術を受けて4~5日で退院する予定でした。ところが、手術をした日の夕方になって喉がすごく腫れてしまって……。まだ麻酔が効いていたので痛みはありませんでしたが、担当医が来て縫った糸を手で切ったら、血がピッと飛んだのが見えました。

■息が止まって「もう死ぬ」という瞬間に3日間で10回襲われた

 その夜8時ごろ、緊急手術になりました。私が死にかけたのは、その日の夜中からです。1日に2回の全身麻酔で、麻酔の量が多すぎたんじゃないかと思うんです。意識は戻っても体中が痺れて指一本動かせませんでした。なにより呼吸が困難で、息が止まりそうになるんです。私は必死に訴えました。「麻酔が効きすぎてるからなんとかして!」って。でも声は出ないし、表情も動かせなくて、はたからは普通に寝ているようにしか見えなかったようです。人が死ぬとよく「穏やかなお顔で」なんて言うけれど、絶対苦しくなかったわけがないと、私は身をもって確信しました。

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