独白 愉快な“病人”たち

手術で死にかけて…仁支川峰子さん甲状腺がん闘病を語る

仁支川峰子さん(C)日刊ゲンダイ

 必死に訴えているのに誰にもわかってもらえない日が続きました。医師たちは、数値に異常がないのになぜ呼吸がときどき止まりかけるのかわからなかったんです。息が苦しすぎて眠れないし、息が止まって「もう死ぬ」という瞬間に3日間で10回襲われました。

「なんでわからないんだ! 医者なのに!」と私は怒り狂っていました。そしてついに「麻酔が強いのよ!」という心の叫びがかすかに唇を動かしたのか、一人の医師が気付いて「麻酔がなるべく早く取れる薬に切り替えます」と言ってくれたんです。10回目に息が止まりかけたとき、術後初めて「コホッ」と咳をすることができました。薬を入れ替えて数時間後のことです。その瞬間まで「コホッ」ともできないくらい全身が麻痺していたのです。

 その後はみるみる血の気が戻ってきて、入院から2週間弱で退院することができました。後からこっそり聞いた話では、1回目の手術時に血がほとんど出なくて、止血すべき場所がわからなかったようです。結局、止血せずに閉じたものだから、じわじわ出血して喉が腫れたんでしょうね。

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