■高血糖が全身に慢性炎症を作り出す
「血糖が高いことはそれ以上に問題です。血液を流れる糖分は多くの異なるタンパク質にくっついて終末糖化産物(AGE)という毒性の強い物質に変わり、さまざまなタンパク質の機能を妨げるからです」
AGEが付着したタンパク質は免疫細胞には異物に見える。そのため、自身のタンパク質に抗体をつくったり、フリーラジカルの生成の原因になるなどして慢性炎症を発生させる。結果、脳の神経細胞やDNA、血管を傷つけて脳への栄養供給を減らしたりする。
糖尿病が進みインスリンの絶対量が不足すると、記憶や学習などに関係する神経伝達物質アセチルコリンが減少し、ADが進行する。この物質はブドウ糖を材料に脳内でつくられるため、脳内のインスリン情報伝達に支障が出れば、糖代謝異常が起こり、つくられにくくなる。