アルツハイマー病が“脳の糖尿病”と言われるのはなぜなのか

日ごろの運動も大事だが…

「脳は糖分以外のエネルギー源を利用できない上に大食いで、酸素不足に弱いのが特徴です。そのため、低血糖発作を起こせば、1回ごとに脳に傷痕を残します。それもまたADに近づけます」

■「脳だけ糖尿病」がADを招く

 こうしたことは糖尿病の人に起こる現象だ。しかし、ADは糖尿病とは無縁の人でも発症する。なぜか。

「“脳だけ糖尿病”の人がいるからです。インスリンには記憶力を高める作用があり、鼻から吸入させると、正常な人の記憶が15分後には良くなります。一方、インスリンは膵臓だけでなく脳内の海馬でもつくられています。海馬のインスリン抵抗性が高まると、脳内のAβの分解・排除がうまくできなくなりADリスクが高まる。ADは“脳の糖尿病”が原因である可能性が高いのです。そのことは私と、虎の門病院付属の『冲中記念成人病研究所』新郷明子博士との共同研究でも明らかにしています」

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