病み患いのモトを断つ

腹や腰が冷たいなら要注意 夏の下痢・便秘は10分灸で解消

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 ドラッグストアには、汗拭きシートが目立つところに並ぶ。外回りから会社に戻ってシートで汗をぬぐうと、サッパリする。この時季のお役立ちアイテムをデスクやカバンに用意している人は、少なくないだろう。そんな汗かき男性も、実は体は冷えていて、冷えを解消すれば、夏の不調が解消するという。「南石鍼灸治療院」の朴宰弘院長に聞いた。

 手足の指先が冷たい。冷え性の典型的な症状は女性に多い。42歳の男性記者が手足の冷えを感じるのは、真冬の雪の日に靴底から伝わる冷たさに苦しめられるときくらいだ。例年、5月の連休くらいから11月くらいまでは、ちょっと出歩くと汗をかく。汗拭きシートが通年で手放せない汗かきだが……。

「夏の冷えは、四肢末端の冷えではなく、内臓の冷えです。シャツに手を入れて、お腹や腰を触ってみてください。冷たかったら、内臓が冷えている証拠ですよ」

 汗かきなのに、冷えているはずがあるまい。そんなバカな。そう思いながらシャツのボタンを一つはずし、下着をまくって手を入れると、あれれっ、冷たいぞ。なんとなく冷えているという程度ではなく、ハッキリと冷たい。

 27度に設定された冷房では物足りず、デスクにはUSB接続のマイ扇風機を設置。パソコンを立ち上げると、すぐにそよ風を感じるが、腹に手を当てたときの体感温度は、涼しいほどではなかった。

 冷え性の自覚はまったくなかったから、腹が冷えていたことに、ただただ驚いた。

「冷え性の自覚がない男性でも、内臓が冷えていることは珍しくありません。たとえば、夏に下痢や便秘になる人は、内臓が冷えている可能性が高い。内臓が冷えると、免疫力が低下します。ちょっとした鼻風邪や喉の痛みくらいでも、夏風邪をひきやすい人も、内臓の冷えが疑われます」

 暑いからと、冷たいビールやお茶を飲み過ぎればなおさらだろう。水分の過剰摂取で便が緩くなって下痢になるケースももちろんあるが、そういう冷たい飲み物が腸の冷えを助長する可能性は十分だ。そういわれてふり返ってみると、記者も夏は便が緩くなりやすかった。なるほど、腸の冷えと夏の不調は関係がありそうだ。では、改善するにはどうするか。

「手っ取り早いのは、入浴やサウナで体をしっかりと温めること。より効果的なのは、お灸です。2、3日に1回ずつお腹や背中、脚のツボにお灸を据えて10分ほど温めると、体の芯がじんわりと温まることが実感できるでしょう」

 簡単なところだと、足三里。膝のお皿の外側のくぼみに人さし指を置いて、指4本そろえて小指があたるところにある。お腹なら、ヘソから指1本半ほど下の気海、同4本分下の関元、逆に同5本分上の中脘で、背中は腎兪と大腸兪だ。腎兪は肘と同じ高さで、親指で背骨の脇を押して気持ちいい部分。大腸兪は、ベルトラインの高さの背骨の脇だそうだ。

 背中は一人では難しいので、ネットでツボのポイント確認しながら腹と足のツボにお灸を据えると、じわじわと体の芯が温まってきて、汗ばむ。室内は冷房が効いているのに、この温熱効果はすごい。その効果で体の血行がよくなったのか、気になっていた首の凝りがスッキリして体が軽い。翌朝は、下痢気味だった便が普通の便に。ちょっとクセになりそうだ。

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