Tちゃんの母親は、そばで着替えやタオルなどを整えていました。Tちゃんは生まれて2カ月でお腹にがんができたそうです。以来、10カ月以上も抗がん剤治療が繰り返されてきましたが、がんは悪化し、肝臓、肺臓、そして脳にも転移がきました。ほとんど意識のない状態になって、数カ月が経っているといいます。もう積極的な治療法はなくなり、死が近いことが予想され、両親はこれまでの専門病院から、自宅が近い診療所にお世話になることを決められたようでした。
Tちゃんを置いて帰る医師と看護師も、そしてこれから担当する医師と看護師も、けいれんが起きた時の処置をはじめ、これから起こりうる可能性のある、あらゆることを話しておきたい、聞いておきたいと、双方とも一生懸命です。
スタッフの誰かが言いました。
「Tちゃん、いらっしゃい。よく来てくれました。仲良くしましょ。Tちゃん、1歳おめでとう」
がんと向き合い生きていく