肉の摂取と健康の関係については、すでに多くのコホート研究が行われています。日本人を対象にしたものでも、3万人を8年間追跡して肉の摂取量と大腸がんの関係を報告した研究が報告されています。
この研究によれば、肉の摂取量が少ないグループに比べ、多いグループで2倍近く大腸がんのリスクが高いという結果です。ここでいう肉とは、鶏肉ではなく、主に牛肉や豚肉を指しています。
日本に限らず、世界的にみても赤身の肉とがんの関係は一貫しており、2015年には世界保健機関(WHO)がそれまでの研究結果をまとめ、赤身の肉を毎日100グラム取るごとに17%「大腸がん」のリスクが上昇し、ハムやソーセージなどの加工肉製品では、毎日50グラム食べるごとに15%大腸がんのリスクが上昇すると報告しています。
さらに18年には、赤身の肉や加工肉製品の摂取が大腸がんだけでなく、「子宮体がん」「肺がん」「食道がん」や「胃がん」、さらには「糖尿病」や「脳卒中」などの心血管疾患ほか、21の病気のリスクを上昇させるという報告がなされています。
それに対し魚の摂取と健康の関係は、多くのコホート研究で、「心筋梗塞」や「脳梗塞」のリスクを下げ、やや寿命を延ばす方向にあるという結果が示されています。
国民健康・栄養調査の世代ごとの肉や魚の摂取割合の変化は、これらのコホート研究の結果を踏まえて再度解釈してみると、肉の摂取割合が低く、魚の摂取割合が高い人にがんや心血管疾患が少ないために、そうした人が長生きした結果と言える部分があることは確かです。
ただその全部を説明しているかというとそうではありません。難しいですね。
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