100歳まで歩ける歩き方と靴選び

いい靴とは履きにくくて重い靴 大事なのは楽に歩けるか

足に優しい靴とは…(C)日刊ゲンダイ

 また、デザイン重視の靴のほうが足を痛める人が少なかった理由としては、そのような靴は価格を高めに設定できるため、製造工程や部品に予算を投入できることが、意外にも「足にいい靴」の条件を満たしているのではないか、と田中氏は言う。

 実は靴の基本的な形状は、すでに200年前には確立されている。しかし、近年化学的な新素材や、新しいデザインの靴が新たに生まれ、「柔らかい靴、軽い靴こそ、履き心地のいい靴である」という考えが広まってしまった。ところが、靴の基本的な構造を外してまで軽さを追求したそういった靴は決して本当に足にいいわけではない、と田中氏は力説するのである。

「私たち足の治療の専門家が集まって靴を脱ぐ居酒屋とかに入ると、店を出る時にすごく時間がかかりますよ。皆、靴ひもをしっかり締める靴を履いていますからね(笑い)」

 これまで、ヒールが高く、爪先が細い靴が外反母趾の原因になると言われることが多かったが、田中氏の経験では、むしろ歩くたびに靴の中で足が動く幅広の靴のほうが、外反母趾になりやすいという。履きにくい靴は、実は足にいい靴だったのだ。

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