肺腺がんの脳転移は、小さい腫瘍が多発するのが特徴。円楽さんのような気分変調の原因の可能性はありますが、ほかの症状が出ることはあまりありません。
脳転移が見つかると、「近い将来、話せなくなるのか」「ひょっとして動けなくなる……」という患者さんの不安を耳にします。脳は人体の司令塔ですから、無理もありません。
しかし、分子標的薬や放射線治療の飛躍的な進歩で、認知機能を守りながら、転移性脳腫瘍を治療することが可能になっています。治療後、仕事に復帰することは十分可能です。
■定位放射線なら認知機能に影響なし
そこで、カギを握るのが、肺がんのタイプを見極めること。日本人は、EGFRという遺伝子に変異がある人が53%に上ります。海外の17%の3倍超です。EGFRが変異していると、脳転移が多発する半面、治療効果は高いのです。
Dr.中川のみんなで越えるがんの壁