病み患いのモトを断つ

7割がうまくできない 家庭で血圧測定「誤差」を生む要因は

カフ(腕帯)の位置で8、脚を組んだら5の変動が
カフ(腕帯)の位置で8、脚を組んだら5の変動が

「自宅より病院での血圧測定値が高いのはなぜなのか」

 先月、オムロンの株主総会で株主からそんな質問があがった。山田義仁社長は、「白衣の人に測ってもらうと、緊張で数値が上がることがある」と白衣高血圧の可能性を説明した。医学的にもっともだが、家庭や職場、ジムなどでの血圧測定は正しくできていないケースが少なくない。正しい測り方は、どうなのか。東京都健康長寿医療センターの桑島巌顧問(循環器専門医)に聞いた。

■カフの位置で8、脚を組んだら5くらい変動

 カナダのアルバータ大の研究によると、家庭血圧計による測定値は、7割が誤っていると報告。5㎜Hg以上が69%で、10以上も29%いた。対象は平均年齢66・4歳の85人で、家庭用血圧計と専門家による水銀式血圧計の数値を比較した結果だ。10以上も数値がズレていたら大変だろう。

 血圧の測定は腕にカフ(腕帯)を巻いて、スイッチを押すだけ。間違えようがないほど簡単だが……。

「測るタイミングとしては、起床後1時間くらいで、薬を服用している方は服用前です。カフを巻く位置は、肘にかからないように、肘上2センチ程度で、心臓と同じ高さに。心臓より高いと血圧が低く、心臓より低いと逆に高く出やすい。テーブルが低いときは、タオルなどで高さを調節するといい」

 心臓より10センチ高いと血液が流れにくくなり、正しく測定する数値より8低下。心臓より10センチ低いと8上昇するというから、バカにできないだろう。

「1回目は高く出やすいので、2回測って、2回目を採用するといい」

 カフの巻き方も、要チェックだ。

「カフの締め付けを嫌がって緩く巻くと、かえって血圧が高く出やすくなります。カフとの間に指が1本か2本入るくらいの巻き方が理想です」

 なるほど、記者もきついカフが嫌いで緩く巻いていて、健康診断の数値より20以上も高く出て驚くことがしばしばあった。巻き方を見直すと、ほぼ健康診断の数値に落ち着いた。

「測る前は、排尿を済ませておくことです。膀胱に尿がたまっていると、数値が高く出やすい」

 米ジョンズ・ホプキンス大の調査によると、膀胱が満タンだと、10~15も高くなるという。

 何げないクセも、血圧を測るときはやめた方がいい。

「脚を組むと、血圧が上がります」

 5くらいの血圧上昇要因になるそうだ。

 朝風呂派は、入浴から1時間は空けること。

「入浴直後は、体が温まって血圧が下がります。1時間ほどして火照りを冷ました状態で測ることです」

 こうしてみると、ちょっとした不注意で血圧の数値がかなり変動することが分かる。7割の人がうまく測定できないのも納得だろう。病院での測定と数値のズレが気になる人はこの辺のことを注意するといいかもしれない。ちなみに、血圧計には上腕式のほか手首で測るタイプもある。手首式は正確さで劣るため、購入するなら上腕式がベストだという。

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