後悔しない認知症

認知症在宅介護 子供の肉体的精神的負担を喜ぶ親はいない

写真はイメージ(提供写真)

 もちろん、在宅介護を続け、幸せな親子関係のフィナーレを迎えるケースもあるだろう。その可能性を否定するつもりはないが、そのためには親の症状、子どもの職業、家族の協力や経済的事情、地域の介護サービス事情など多くの要素が必要となる。

 先日、映画「長いお別れ」を見た。山崎努さん演じる元校長の認知症発症から死までの7年間、そして、ともに生きるその妻と娘たちの日々を描いた作品だ。ゆっくりと進行していく認知症の現実、その現実と向き合う家族の姿などをリアルに描いている。

 確かに上質の作品であることは間違いない。ご存じの方もおられるかもしれないが、私自身、若いころから映画好きで、これまで4作品もの、一般公開された映画の監督を経験している。そのうちの一作「『わたし』の人生 我が命のタンゴ」は施設に入れることで初めて認知症の親の良さを見つけた話だ。

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和田秀樹

和田秀樹

1960年大阪生まれ。精神科医。国際医療福祉大学心理学科教授。医師、評論家としてのテレビ出演、著作も多い。最新刊「先生! 親がボケたみたいなんですけど…… 」(祥伝社)が大きな話題となっている。

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