ストレス社会の生き延び方

時間・空間・五感…3つの「区切る」で疲れとさようなら

美瑛の丘とラベンダー

 空間を区切るには水平方向と垂直方向があるのだという。水平方向は距離を取る。例えば、会社のある場所から少し離れたところでランチをするといった具合だ。

「週末に東京を離れるなら箱根より関西、関西より九州、九州より海外と遠くなればなるほど、自分のことをより客観的に俯瞰できるようになります。時間がなければ垂直方向に距離を取るのがおすすめ。高層ビルのラウンジや展望台など。『高いところから見ると人も車も小さく見えて、俯瞰して物事を眺められ、冷静になれた』という方もおられます。ある方は飛行機での移動で『小さくなっていく車や建物を見ていると自分の悩みやストレスなんて小さなものだと思えてくる』と言います」

 最後に五感を区切る。これは「視覚」「聴覚」「嗅覚」「味覚」「触覚」に変化を与えること。

「カラーセラピーで視覚的に、アロマテラピーで嗅覚的な気分転換を図るのもいいでしょう。相手をリラックスさせたいなら木目調(茶色)や緑が効果的。スターバックスのカラーはその典型です。ラベンダーはリラックス、シトラスで仕事モードと、香りは行動を区切るのにも役立ちます。おいしい料理を食べて味覚を、好きな音楽を聴いて聴覚を、温泉に入るなどで触覚をと少し意識をすればいつでも五感を区切ることが可能です」

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武神健之

武神健之

東京大学医学部大学院卒。一般社団法人日本ストレスチェック協会代表理事。年間1000件の健康相談、ストレス・メンタルヘルス相談を行う。著書に「職場のストレスが消える コミュニケーションの教科書 上司のための『みる・きく・はなす』技術」(きずな出版)などがある。

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