ストレス社会の生き延び方

「うん、うんと聞いてくれる人を見つけましょう」

効果はすごく大きい(C)日刊ゲンダイ

 厚生労働省の調査(16年)によると、仕事で強いストレスを感じている労働者は59.5%と約6割にものぼっている。

 そのうち、家族や友人などに相談したのは約8割。相談して「解消された」「気が楽になった」と答えたのは合わせて92%と、その効果がうかがえる。

「相談する相手を持つことは、メンタル不調にならないための3つのセルフケアのうちの1つです。それは何も専門家でなくても家族や同僚、友人に話すだけで発散でき、効果はすごく大きい。ただ、上司などに話をすると途中でいらないアドバイスをしてくることもあるので、『うん、うん』と聞いてくれる人を見つけましょう。その点、話を聞くのが専門である産業医やカウンセラーはうまく聞いてくれ、こんがらがった糸がほどけていきます」

 2つ目は「長時間労働による負の連鎖を断ち切る」こと。

「長時間労働をしている人は睡眠時間が少ない。そして睡眠時間が短いと体や心の健康を害するリスクが高いとされています。また、会社と家の往復だけという生活は『会社が自分のすべて』になってしまい、何かうまくいかないことやミスがあると、心のよりどころがなくなってしまう。メンタル不調で休職をしたケースでは『世の中の人は、5時、6時になると帰宅するんですね』と言う人がいました。この方は就業時間を意識したことがないのだと言います。長時間労働が当たり前になると違和感を覚えなくなってしまうんですね。これは非常にまずい。また、不平や不満が募ってくることもメンタル不調の要因になりかねません。働き方改革での是正に注目したいところです」

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武神健之

武神健之

東京大学医学部大学院卒。一般社団法人日本ストレスチェック協会代表理事。年間1000件の健康相談、ストレス・メンタルヘルス相談を行う。著書に「職場のストレスが消える コミュニケーションの教科書 上司のための『みる・きく・はなす』技術」(きずな出版)などがある。

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