進化する糖尿病治療法

肥満は本当に悪いのか? 健康に対して弊害になるのか?

東京慈恵会医科大学の坂本昌也准教授(C)日刊ゲンダイ

 それでも20代は、やはり若さゆえに乗り越えられます。大学生の面影を感じられないほど太ってきたり、健診の数値が基準値内だけど上昇してきたり、黄色信号がともりだすのは、たいてい30代に入ってから。

 この頃には、運動どころか、電車や車の移動が中心で、歩くことも少なくなってしまっています。半面、大学生の頃とは違ってお金を持っていますから、食べるもの、飲むものは「いいもの」に変わるでしょうし、接待などで酒量が増え、睡眠時間は減っていくでしょう。独身なら、なおさらですね。

 40代になると、健診で「再検査」と指摘されるものが出てくる。仕事の忙しさ、面白さがピークになる年代ですから、再検査は後回しになりがち。家庭を持った人では、奥さんに言われたり、自分自身でも、多少健康に気をつけようとなるでしょうが、さほど深刻ではない。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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