進化する糖尿病治療法

肥満は本当に悪いのか? 健康に対して弊害になるのか?

東京慈恵会医科大学の坂本昌也准教授(C)日刊ゲンダイ

 そして40代後半から50代。20~30年にわたる、肥満になる食生活・運動不足・睡眠不足・ストレスのツケがドーンと出てくるのがこの年代です。

 体は血糖を下げられなくなり、代謝が破綻した状態。この段階で生活習慣を変えようと思い立っても、場合によっては、生活習慣改善だけでは太刀打ちできなくなっているのです。

「薬は飲みたくない。生活習慣改善でなんとかならないでしょうか」

 そうおっしゃる糖尿病患者さんが少なくないですが、残念ながら、薬と生活習慣改善の2本柱でやっていくしかない段階なのです。糖尿病は「肥満の延長」と考えられています。しかし、「肥満に至る長い時間経過」が招いた結果、と捉えた方が適しているかもしれません。

「肥満によって健康を害する複数の現象が起こる」と先に述べましたが、糖尿病はそのひとつにすぎない。つまり、糖尿病が出てきた時点では、すでに「血糖値を下げればいい」という問題ではない。では、どうすれば? それを次にお話ししたいと思います。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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