更年期を知って夫婦円満

更年期のイライラは、本人が気をしっかり持てば静まるの?

本人も自覚が薄い場合が
本人も自覚が薄い場合が(C)日刊ゲンダイ

 更年期のイライラはよく知られる症状。家族が困るほどのイライラはなぜ起こるのでしょう?

 主な原因は女性ホルモン(エストロゲン)の減少。エストロゲンは脳の視床下部からの指令で卵巣から分泌されますが、閉経前後になると十分な量を分泌できなくなり、脳は何度も指令を出すことになります。

 これらの過剰な指令で脳がパニック状態になり、視床下部がコントロールを担う自律神経、体温調節、感情などにも影響を与え、イライラなどが生じるのです。エストロゲンの分泌のアップダウンも、感情のコントロールや体調の不安定につながるのではないかと考えられています。

 日常生活に支障をきたすほどのイライラは治療が必要な更年期障害。気をしっかり持って意識すれば鎮まるというものではないのです。治療を受けて落ち着いてから、ヨガなどリラックスできる運動などのセルフケアを行うのが理想的です。

 イライラなどの感情に関わる症状は、家族は、「あ~イライラしている」程度で放置し、本人も自覚が薄い場合があります。本来なら穏やかに過ごせる日々を、漠然とした不安やイライラで家族や他人に当たってしまうことが大半。信頼も失いかねないし相当な心の負担ではないでしょうか。感情関連の症状は判断しづらいですが、家族が見守る範囲を超える症状の場合は適切な更年期治療へ導いてください。

 治療方法は、いくつかあります。減少するエストロゲンを少量補充するホルモン補充療法は、エストロゲンのアップダウンのギャップを小さくする助けもします。

 エストロゲンに似た作用をするサプリメントにも、同様の効果が期待できます。イライラの症状を改善する漢方薬もありますよ。自分にあった治療方法を、更年期外来のある婦人科に相談してみてください。

 なお、更年期でイライラするのは女性に限ったことではありません。男性も加齢でテストステロンが減少するとイライラや不安が起こります。これは、LOH症候群と呼ばれる男性更年期の症状です。

小林ひろみ

小林ひろみ

メノポーズカウンセラー。NPO法人更年期と加齢のヘルスケア会員。潤滑ゼリーの輸入販売会社経営の傍ら、更年期に多い性交痛などの相談に乗る。

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