医者も知らない医学の新常識

米専門誌で研究報告が プロ野球選手は内野手が長生きする

ミスターは大病を克服
ミスターは大病を克服(C)日刊ゲンダイ

「運動が健康に良い」というのは医学的には間違いのない事実です。運動は肥満を防ぎ、体の代謝を活発にして、動脈硬化や糖尿病を予防します。ただ、これはあくまで一般の人が、無理のない範囲で行っている運動習慣のことです。

 それではプロのスポーツ選手は一般の人より、健康で長生きでしょうか? これはまだ解決されていない問題です。

 プロのアスリートは毎日のように運動をしているのですから、生活習慣病はそれだけ強く予防される可能性があります。一方でハードなトレーニングや、試合などでの危険と隣り合わせのプレーは、体を痛めつけ、時には大きなケガの原因となります。ピッチャーは肘を壊す、ボクシングは脳や頚椎の病気の原因になる、など、特定のスポーツ選手にはなりやすいケガや病気も知られています。

 今年の米国医師会の内科専門誌に、メジャーリーガーの健康調査を大規模に行った、興味深い研究結果が報告されています。

 それによると、メジャーリーガーは一般のアメリカ男性と比較して、全体としては長生きで、多くの生活習慣病も予防されていました。

 しかし、皮膚がんなどの一部のがんと、認知症のような脳の病気は別でした。また、ピッチャーと比べるとショートなどの内野手は、より長生きの傾向が認められました。これはケガなどの影響が大きいと思われます。

 プロ野球選手は、医学的には内野が健康的であるようです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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