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手のひらに汗をかきがち… 多汗症はどこからが治療対象か

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 暑い時や運動した時、また緊張したり不安な時にも、手のひらや足の裏、ワキの下に汗をかきます。これは生理的な汗ですが、単なる汗っかきを通り越して異常な汗をかくとなると、多汗症です。はっきりしたことは分かっていませんが、発汗を促す交感神経が人よりも興奮しやすいのではないかといわれています。

 多汗症は3段階に分けて診断しており、たとえば手の場合では「手のひらは汗で湿っているものの、光の反射を利用してよく見ないと汗ばみが分からない程度」「手のひらの汗ばみがはっきり見え、水滴までも見えるが、水滴がしたたり落ちるほどではない程度」「手のひらに水滴ができ、汗がしたたり落ちる状態」となります。

 水滴ができるようなら治療の対象。しかしそこまでいかなくても、多汗症は本人が困っていれば、治療の対象となる病気です。

 一般的な治療は、1日1回、寝る前に塩化アルミニウムの外用薬を塗る。また、保険適用外で数万円以上かかる高額な医療ですが、手のひら、足の裏、ワキの下へのボツリヌス毒素の局所注射療法があります。

 日常生活でできる予防法・対処法としては、外出前に気になる場所に発汗を抑える制汗剤を使用すること。一時的な制汗効果が得られます。

 衣類は熱の発散を妨げないものを選ぶ。特に下着は通気性、吸水性、速乾性に優れた綿素材がお勧めです。食事では、熱の生産量が高い肉類を控えめにする。汗の量を抑えることができます。

 また、山芋や里芋などのムコ多糖類を多く含む食品も汗の量を抑えるのに役立つといわれています。

 手のひらやワキの下など局所の多汗症ではなく、全身に多量に汗をかく全身性多汗症では、甲状腺機能亢進症や糖尿病(低血糖)、更年期障害、褐色細胞腫、服用している薬などが原因となる場合も。原因に対して治療する必要があります。

 異常な多汗を感じたら、皮膚科や内科の診察を受けましょう。

(国際医療福祉大学熱海病院検査部・〆谷直人部長)

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