ストレス社会の生き延び方

1万人の面談でわかった ストレスに悩まない人の7つの習慣

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 産業医として約1万人と面談してきて分かってきたのは、不安やストレスに悩まない人は7つの習慣を身に付けていること。

 1つ目の習慣は「好きなことをする」だ。

「テニスをしているときに、ボールを追いかけながら仕事のことは考えにくい。バイクを運転中のときなども同様、仕事のストレスから解放されるときだと思います。このように趣味や娯楽など好きなことをやっているときは嫌になることや負担になることがあっても、それを忘れることができます。そして、心も体もリラックスできるのです」

 2つ目は「構える」。

「人は想定外のことが起こったときにダメージを受けます。なので、想定外のことに対して構えること。最悪のシナリオを想定することがショックを和らげることにつながります。例えば『急に病気になったら?』『突然、会社が倒産したら』など最悪のケースを想定する。これに構えておくとイザというときに必要以上にインパクトを受けません。仕事、人間関係、お金、健康、住居など想定外を考えてみるといいでしょう」

 3つ目の習慣は「区切る」。

「例えば旅行に行く、コンサートに行く、週末にバーベキューをするなどで職場との区切りをつくります。マラソン選手が喉が渇く前に給水所を決めているように、あらかじめ休暇の期間を確保し、それに合わせて仕事のスケジュールを組むことが望ましいですね」

 4つ目は「捨てる」。

「やりたいことを決める前にやらないことを捨てる習慣を身に付けている。無駄なことをやらないだけでストレスは随分軽減されます。例えば職場での人間関係のストレスです。大半の方は『相手を変えられる』と思ってイライラする。この考えを捨て、『他人は変えられない』と切り替えれば気持ちはスーッと楽になります」

 5つ目は「体を動かす」。

「有酸素運動や一定のリズムを伴う運動をすると脳内でセロトニンが活性化するといわれています。セロトニンはうつ病患者に不足している脳内物質。体の緊張を和らげる働きもあり、不安やストレスにとって重要な役割を果たします」

 6つ目は「書く・人に話す」。

「何が不安なのかを書き出し人に話すことでその原因がはっきりとし、対処方法が見えてきます。そして、うんうんと話を聞いてもらうだけで『理解してくれる人がいるんだ』となり、自己肯定感が高まります。そして孤独や不安が和らぎます」

 最後の7つ目は「新しい出会いを求める」。

「いつもと違うルートで通勤してみる、新しくできた店に入ってみる、勉強会や交流会に参加してみるなど。新しい人との出会いや新しい学び、新しい習慣など非日常を楽しむ。ワンパターンになることを避け、脳に新しい刺激を与え、ストレスに悩む時間をリフレッシュしましょう」

 1つでもできそうな習慣があれば、実践してみたい。

 (構成・中森勇人)

武神健之

武神健之

東京大学医学部大学院卒。一般社団法人日本ストレスチェック協会代表理事。年間1000件の健康相談、ストレス・メンタルヘルス相談を行う。著書に「職場のストレスが消える コミュニケーションの教科書 上司のための『みる・きく・はなす』技術」(きずな出版)などがある。

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