病み患いのモトを断つ

γ-GTPが100くらいなら減酒で改善 三日坊主を防ぐコツとは

1杯飲むとなし崩しに…
1杯飲むとなし崩しに…

 あまりの暑さでヤル気もないし、食欲もない。そんな人は、いっそ減酒にチャレンジしてはどうか。行きつけの店がお盆で休みなら、絶好のタイミングだ――。

「ガンマ、上がっちゃってさぁ」

 酒飲みが気にする血液検査の項目のひとつに、γ―GTPがある。アルコールの摂取量と深く結びついていて、摂取量が多いほど数値が高くなる。けっこう飲んでいるのに数値が高くならない人は“低さ自慢”をアピールしがちだが、長年の飲酒生活によって、基準値内(男性10~50IU/L、女性9~32IU/L)でも、数値はじわじわと上昇カーブを描いているはずだ。

 43歳の男性は、1人でワインを2本空けても二日酔いにならないほど酒が強い。γ―GTPは、20代から20前後の“安全圏”だったが、ここにきて“ボーダーライン”をうろちょろするように。相変わらず二日酔い知らずでも、この春に3歳年上の大学の先輩の不調を知り、減酒生活を取り入れるようになった。

「先輩が心筋梗塞で倒れまして。幸い、命には別条ありませんでしたが、先輩も大の酒好き。あすはわが身と思って、ちょっと怖くなりました。それで取り入れたのが、3杯ルールです。酒の種類はなんでもよくて3杯まで。アルコールを続けて3杯飲んでからも店にいるときは炭酸を飲む。炭酸を挟みながら、2杯目、3杯目を吟味するときもあります」

■寝つきがよくなり目覚めスッキリ

 3杯ルールを1カ月続けたところ、γ―GTPは20代のころのような“安全圏”に。血圧や中性脂肪なども改善。「何より寝つきがよくなって目覚めがいい」と喜ぶ。

 聖路加国際病院内科名誉医長で、「西崎クリニック」院長の西崎統氏が言う。

「減酒が失敗しやすいのは、『きょうは酒を控えよう』と心の中で思っていても、酒好きほど1杯飲むとなし崩しになりやすいためです。ですから、決めたルールは家族や同僚に宣言するといい。家族にはストレートに宣言すればいいですが、同僚にはもっともらしく『検査数値が悪く、次の検査まで』などと理屈をつけ足すこと。そうでも言わないと、『もっとつき合えよ』と悪魔の誘いを受けることになります。三日坊主を防ぐには、ウソも方便です」

 1週間でも2週間でも減酒生活を続けられたら、それが自信になる。減酒生活を死ぬまで続けるのではなく、1年に何度か取り入れるといいだろう。酒が好きで、一度に飲む量が多い人ほど、減酒生活を時々取り入れる心掛けが大切だという。

「γ―GTPが100くらいまでなら、ちょっとした減酒ですぐに改善します。しかし、200や300ともなると、禁酒が必要です。楽しく飲み続けたいなら、折に触れて減酒することです」(西崎氏)

 休日の家飲みを控えるケースに限れば、飲まずに寝る作戦もありか。

「晩酌する人の食事は、概してつまみがほとんどで米を後回しにしたり、食べずに済ませたりする傾向があります。もちろん、そういう食事になるのは酒を楽しむためで、それを逆手にとり、定食のような食事で酒を飲む余裕がない状態にするのです。満腹で眠くなったら、寝てしまえばいい。飲まないと寝つきが悪ければ、かかりつけ医に睡眠薬を処方してもらえばいいでしょう」(西崎氏)

 医学的なアルコールの適量は、アルコール換算で20グラム。ビールは中瓶1本、日本酒1合、ワイングラス2杯。冒頭の男性の3杯は、適量を超えているが……。

「大酒飲みは、少しでも減らすことが大切。無理のない目標設定で、減酒を意識づけることが重要です」(西崎氏)

 さあ、始めよう。

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